消化器内科を学ぶ研修医・専攻医におすすめする本

こんにちはDr.シェパード (@dr-shepherd-ns-rabbit) です。

今回は初期研修医から後期研修医の方にもおすすめする消化器内科の本を紹介していきます。

多分皆さん困ったのでは無いかと思うのですが、出版されている本で1冊で十分と思えるようなしっくりくる感じの本が極端に少ないのが消化器内科です。

おそらく多分野に渡るせいで内容も膨大なため、網羅しきれないのだと思うのですが・・・

当ブログもそういった事情を踏まえて開始した所存です。

そこで、今回はローテートで1ヶ月以上、後期研修医としてより専門に学ぶといった方におすすめする入門本を紹介していきます。

この記事を読んで頂くことで、消化器内科で学ぶ際に役立つ本を知ることができます。

目次

消化器内科全般が記載されたオススメ

消化器診療プラチナマニュアル

2021年7月に発刊された本で、おこがましいですが嫉妬してしまった本です。

最近本屋さんで見かけて手に入れましたが、すごい小さいのに十分な量の内容が記載されています。ローテーションするだけならこれだけで十分かもしれません。

こちらは感染症プラチナマニュアルのシリーズで第2弾が精神診療、第3弾が消化器診療でした。

お値段も手頃で、これさえあれば必要最低限な内容は参照できると思います。

Dr.シェパード

こんな本が欲しかった!

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むかしの頭で見ていませんか?消化器診療をスッキリまとめました

2020年11月に発刊された本です。

消化管・肝・胆膵について網羅的に記載された良書ですが、網羅度が下がるためこの1冊でローテーションで十分とはいかないです。

実際に診療に当たる時にマニュアル本では足りないちょっと踏み込んだ+αを補ってくれる役割のある読み物本です。

各内容を3ページ程度にまとめてあるため、読みやすく軽快に読み切る事ができます。一方で「ちょっと踏み込んだ」のレベルではあります。

上記のマニュアル本からさらにちょっと進んだ知識を手に入れたいとスキマ時間を利用した学習にオススメです。

極論で語る消化器内科

2018年10月に発刊された本です。

有名な「極論で語るシリーズ」で循環器なども読みやすく重宝しました。

消化器においても、ひとつ上に載せた「スッキリまとめました」と同様に網羅的に解説されており、マニュアル本+αの読み物としても読みやすくオススメです。

この2つのどちらかで良いかもしれません。

消化器救急診療

消化器内科はなんと言っても救急診療は外せない一面です。

主訴が腹痛の患者が多いのはもちろんのこと吐血や血便、発熱・季肋部痛といった症例が来ます。しかも内分泌や泌尿器、産婦人科領域までひとくくりに腹痛で来ますので消化器かそれ以外かを消化器内科で判断することも多いです。

ブラッシュアップ急性腹症 第2版

2018年11月に発刊された第2版です。

こちらは王道の本で救急ローテートや夜間救急当直などでも役立つこと間違い無しの良書です。

腹痛診療の基本となるため、すべての内科医師・外科医師に勧められるといっても過言ではない本です。

Dr.シェパード

腹痛診療を苦手としている方はぜひ手に入れましょう!

画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン~病態を見抜き、サインに気づく読影のコツ

2012年4月に発刊されたレジデントノートのコラムをまとめた本になります。

こちらは消化器のみに特化したものではありませんが、初学者にわかりやすく画像診断について述べていることと、他科ローテートの際にも役立つのではと思う内容です。

Dr.シェパード

画像診断はできるにこしたことはありません。どんな診療科でも必要となることはあるかと思います。

1巻目のこちらには消化器読影についても載っており非常に役立ち、医学生から役立つ様な内容となっており、はじめの一歩として非常にオススメです。

ちなみに2巻目もあるのですがややマニアックな分野に向かうため、1巻目だけでも良いかもしれません。(呼吸器や循環器志望の方に特にオススメです)。

レジデントのための腹部画像教室

2017年9月に発刊されたレジデントのためのシリーズです。

レジデントのためのとなっていますが、結構レベルが高く、何もわからない!と思って手を出すと少しむずかしいかもしれません。

Dr.シェパード

こんな本がレジデントの時にほしかったと研修医の先生が持っているのをみて思いました。

一方で少し画像自体の見方に慣れてきた時期にはバッチリはまり、画像診断の奥深さに触れることができます。

研修医後半くらいからの方にオススメです。

分野別オススメ本 ~消化管~

消化管に関しては内視鏡がメインとなるのですが初期研修医でそこまでカバーする必要は無いかと思います。

専門に進もうと考えている方や後期研修医にオススメの本をピックアップします。

またIBDに関しても、ローテートで触れる病院もあるかもしれないのでピックアップします。

(IBD診療ある方)かとじゅん流 IBD診療-秘伝!108の極意

2021年4月に発刊された新しい本になります。

Dr.シェパード

IBDに関しては完全に別個の分野に近い専門性の高い領域になります。

研修をする病院によってはIBD診療を活発に行なっていることもありますので、オススメを紹介します。

こちらの本は千葉大学付属病院の加藤 順先生の書かれたIBD診療の本で他にもIBDに関する良書を書かれております。

一方で日進月歩の医療で最近に様々な治療薬が登場したこともあり、他のIBD診療の本も含めてやや古いなと思うことが少なくありませんでした。

こちらの本はアップデートされ、執筆時点(2021年)の最新治療に即しているため実臨床に即した知識を手に入れることができ、さらに読みやすさまで素晴らしいという良書です。

IBD診療に触れる機会があるならオススメです。

(後期や専門を目指す方)上部消化管内視鏡診断マル秘ノート/マル秘ノート2

2016年と2018年に発刊された本です。

消化器内視鏡、特に上部消化管内視鏡における診断について、非常に軽快な文章でとても深くまで書いているスゴイ本です。

Dr.シェパード

読みやすさは抜群なのですがいかんせん内容が深すぎて何度読み返したかわかりません

内視鏡診断に興味がある消化器内科を目指す初期研修医や専攻した後期研修医にまず入門としておすすめします。

(後期や専門を目指す方)教科書では教えてくれない!私の消化器内視鏡Tips: とっておきの”コツ”を伝授します

2018年に発刊された本です。

こちらは「gastropedia~ガストロペディア」というサイトに掲載された様々な先生方の内視鏡手技中の工夫ポイントを紹介しています。

Dr.シェパード

こちらを参考にすれば、上級医の消化器テクニックを簡単に真似することがデキます

番外編: 消化器内科医になるなら登録をおすすめするサイト

  • 「gastropedia~ガストロペディア」:消化器に関わる医療関係者のためにということで作製されているサイトで、上記で紹介した本なども関連しています。他にも色々な消化器に関わる学べる内容も充実しており、登録無料ですので登録しておいて損はありません。
  • 「大圃エンドサロン」:内視鏡治療の大家である大圃先生をメインとした内視鏡治療に関する実際の手技や解説動画の配信を行っています。主にESDですがEMRなども挙がっており非常に勉強になります。もちろん登録無料です。
  • Olympus Medical Town:内視鏡メーカーとしてトップシェアを誇るOlympusによる情報サイトで講演会の情報や、とくに「拡大内視鏡所見トレーニング」があり勉強に役立ちます。登録無料です。

分野別のオススメ本~肝臓~

必ず役立つ!肝炎診療バイブル:研修医・レジデント必携

肝炎診療バイブルは定期的に改訂版が出ており都度最新のガイドライン準拠になっています。

Dr.シェパード

第3版のときからお世話になっており、4版も持っています。5版が出たことを知り、改定内容を見て検討かと考えています。

B型肝炎、C型肝炎を中心として詳細に記載されており、他にアルコール性肝炎/肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患肝硬変診療、少なめですが肝細胞癌診療、他ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害といった幅広い肝臓に関する内容を取り扱っている本になります。

章ごとに比較的簡潔に書いてありますが深堀りもされています。

肝酵素上昇まで範囲を広げると、生活習慣病としての脂肪肝やどんな薬剤の副作用でも起こりうるわけですから、ふとした場面で見かける事が多くあります。

臨床に携わろうと考えている方全員にオススメです。

分野別のオススメ本~胆・膵~

胆膵でおすすめというのは難しく、基本的な胆嚢炎や胆管炎、膵炎はガイドラインで十分です。

それぞれにアプリもあり、「TG18」、「JPN GL 2015」というものになっており無料ですのでダウンロードがオススメです。

ついでに肝臓系のスコアリングなどが入った「Child X」というアプリも日本語で色々入っているためオススメです。

Hospitalist Vol.6 No.3 2018(特集:肝胆膵)

2018年10月に発刊されたHospitallistの肝胆膵特集です。

肝胆膵のマネジメントは時間軸が重要ということでアプローチしていきましょうという特集になります。

実際に内容としては非常に勉強になるものです。

ただ初学者には重いので、研修医後半でローテートしたり、後期研修や専門に進んだ方にオススメです。

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Key所見から読む 肝胆膵脾の画像診断

2016年に発刊された少し古い本ですが、肝胆脾の画像について学ぶなら十分な内容となっている本です。

こちらもやや内容は難しく、研修医でというよりは後期研修や消化器専門を考えている方にオススメです。

また2冊組になっているため、お金もかかるため興味がある場合に、またよりローテート中に学習を深めたい場合などにオススメです。

おわりに

いかがでしたでしょうか、こちらの記事を参考にしてローテートを完ぺきにこなしたり次のステップに進むための助けにしていただけたら幸いです。

他にもオススメの本などある場合、Twitterやコメントなどでお知らせください!

みていただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

首都圏で消化器内科医として臨床に携わり、消化器内科や医学一般について、医療者の生活についてなどの情報を発信しています。

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