こんにちは、Dr.シェパード(@dr-shepherd-ns-rabbit)です。
皆さん、病院ではどんな靴・シューズを履いていますか?
フォーマルなら革靴、一般的なスニーカーブランド(NIKEやadidas、New Balance、CONVERSEなど)、サンダルだったり、通勤時に履いているものをそのままという人もいるかもしれません。
医者にとって病院内での靴・シューズ、”院内履き”は毎日使うものであり、ビジネスとして場面によっては自分の顔にもなる重要な道具でありながら、医者の仕事環境を考えると慎重に選びたくなるものです。
具体的に仕事環境で気になる点を挙げると「血液や嘔吐物などの体液汚染が靴にもかかることがある」、「汚れた時に洗えたり清潔さを保ちたい」、「針など鋭利なものが足の上に落ちても刺さらないようにしたい」、「長時間立ったままや院内での移動が多いので少しでも足に負担を減らしたい」、「長時間履いているので通気性もほしい」、「急変対応などで急いで走る時に脱げにくい方がいい」といったポイントがあると思います。
消化器内科では内視鏡処置の際に結構足元に胆汁や吐血などの体液やインジゴカルミンなど色素液、ヒアルロン酸など局注液など様々な液体による汚染がありえます。
一方で医療用として販売されているシューズは多くはナースシューズなどで医者に向けた商品は少ないです。
そのため、いざ院内履きを考えても目当ての商品が見つからないことは少なくありません。
しかも、意外にも医者という仕事は歩くことが非常に多い仕事です。
私が救急医療もある総合病院勤めが長いこともあってか、救急外来なども含めて病棟以外に色々なところに歩き回ることが多いです。
iPhoneのヘルスケアアプリでみたところ私の1日平均の歩数はおよそ15,000歩以上で多い時は20,000歩越えと歩くことが多いことがはっきりとしております。(厚労省の調査では日本人の平均歩数は男性6,793歩、女性5,832歩と報告があります。)
そんな日常を支えるシューズは盲点になりやすいですが、日々の健康・疲労の面で非常に重要なアイテムとなります。
そのため、先程挙げたポイントを踏まえて、いくつか自身で履いてみてよかったと思える”院内履き”をなかなか紹介されていることの少ないブランドなどからも吟味して紹介していきます。
この記事を読んでいただくと、これから病棟実習にでる医学生、医師として働き始める研修医、すでに医師として働いている方など皆さんが満足する1足が見つかるかもしれません。
選ぶときのポイント
- 病院で履いても違和感のないカラーやデザイン
- 血液などの体液汚染、針などの鋭利な物から特に足の甲を守れる
- 長時間履いても疲れにくいクッション性、通気性
- 脱げにくさ
- 履きつぶしても交換しやすい
これらのポイントを踏まえて、私のオススメを紹介していきます!
ほぼ全てカバーしている特に院内履きにおすすめの5選
選ぶ時のポイントをカバーした製品から順番に紹介していきます。
ここで知っておいてほしいシューズの種類として、特に長時間履いていても疲れにくい・むしろ癒されるという点で最近話題の「リカバリーシューズ」がおすすめ度が高く、さらに医療従事者向けで非常におすすめの商品を発見したため、最上位にランクインさせました(*2022/4 アップデート内容)
リカバリーシューズは一度履いてしまうと離れられなくなる理想の靴です・・・
TELIC(テリック) Doctor’s Sabot(ドクターズ・サボ) ★★★★★
こちらは聞きなれないブランドかと思いますが、TELIC(テリック)はアメリカで誕生して、2018年に日本人向けのモデルとして生まれ変わったリカバリーフットウェアブランドです。
より優しい履き心地を求めて開発されたジャパンオリジナルモデルは、”雲を歩くような履き心地”と評されるほどの快適性を実現しています。
独自配合のEVA素材のソール、深いヒールカップに足裏のアーチに沿ったアーチサポートによる極上の履き心地となっています。
そして、TELICから医療従事者向けのシューズとして医療従事者の声により実現した「Doctor’s Sabot(ドクターズ・サボ)」が特におすすめです。
「Doctor’s Sabot」は足の甲が覆われているために不慮の事故を防げますし、ヒール部分はストラップによる固定のため、足の甲側に倒せばスリッポンタイプとしてもつかえ、固定したい時はストラップを使用すれば脱げにくくできます。
またサイドには通気口がしっかりあいており、足のムレも防ぐことができ洗うこともできます。
形状的には「リカバリーシューズ要素が追加されたCrocs」といった感じです。
値段もそこまで高くなく、後述するCrocsの+1500円ほど(2022/4現在)とリーズナブルなため、圧倒的1位でおすすめとなりました。
- 軽量性、クッション性がいい。特にリカバリーシューズとして足への負担を軽減する技術は一級品。
- 足の甲は覆われており汚染や針などからおよそ守られる(素材の問題上、直角に刺さるともしかしたらはあり得ます。)
- 汚れたら洗うことができる
- サンダルタイプかつ横に通気口があるため通気性は良い
- 価格は6000円程度と比較的安価でカラーは白・黒・ネイビーで医療現場でも使いやすい
- サンダルタイプでストラップによるので走ったりすると脱げる場面がある
OOFOS(ウーフォス) OOcloog ★★★★☆
こちらも聞き馴染みのないメーカーかと思いますが、リカバリーシューズのパイオニアとして有名なシューズメーカーのOOFOS(ウーフォス)です。
アメリカで生まれたブランドでその特徴は衝撃吸収力の高いOOfoam(ウーフォーム)による特殊なソールです。
人間工学に基づき設計されたフットベッド(インソール)により土踏まずを包み込むような構造で足首への負荷を47%軽減し、併せて膝・腰・背中への負担も軽減してくれます。
そういった効果を認められ全米足病医学協会からの認定を全商品で取得しています。
通常のサンダルタイプやメッシュ構造になったシューズなどがありますが、その中でサンダルタイプの「OOcloog」は足の甲まで覆われたタイプです。
インナーの脇には通気孔のような穴がいくつか空いており全体としては軽量なモデルです。
- 軽量性、クッション性がいい。特にリカバリーシューズとして足への負担を軽減する技術は一級品。
- 足の甲は覆われており汚染や針などからおよそ守られる(針がささる向きだと貫通するかもしれません)
- 汚れたら洗うことができる
- サンダルタイプなので通気性は比較的良い
- 価格は8000円程度と中間の値段でカラーは白・黒で医療現場でも使いやすい
- サンダルタイプなので走ったりすると脱げやすい
Crocs(クロックス) Bistro Clog, Specialist Ⅱ Vent Clog, On The Clock Work SlipOn ★★★★☆
いまや知らない人はいない、特徴的なサンダルで有名なアメリカのCrocs(クロックス)からワークシューズのシリーズが出ています。
かなり有名で履いている人を見かける機会が一番多いかもしれません。
Crocsの特徴である合成樹脂素材でできたサンダルの特徴はそのままに足の甲は覆われたデザインになっています。
「Bistro Clog」は通気孔がないタイプで足を入れる部位以外には侵入する場所がありません。
「Specialist Ⅱ Vent Clog」は通気孔がアウターとインナーの脇にあるため通気性がありますが、そこから侵入する可能性があります。
「On The Clock Work SlipOn」はスリッポンタイプのシューズで踵があります。写真でわかりにくいですが内側に小さい孔があり、少し通気性はありますが悪いです。
いずれのタイプも水と石鹸での丸洗いが可能です。
個人的にも使用したことがあるのですが、Crocs全般でインソールのない合成樹脂の感触があまり好きではなく合いませんでした。
- 合成樹脂で軽量性、クッション性がいい
- 足の甲は覆われており汚染や針などからおよそ守られる(針がささる向きだと貫通するかもしれません)
- 汚れたら洗うことができる
- カラーバリエーションは白・黒を基本としている
- 値段は4000-6000円程度が定価で安めだが、さらにセールなども行っている
- 通気性がやや悪い
- スリッポンタイプ以外は脱げやすい
- インソールが無く合成樹脂そのままのため、合う合わないがある
ccilu(チル) phoenix phoebe ★★★☆☆
あまり聞き慣れないシューズメーカーかもしれませんが、このシューズは見たことはあるかもしれません。私も以前に使っていたことのあるシューズです。
ccilu(チル)は南米アマゾンに暮らす人達が履いている草のサンダルからインスピレーションを得て作られたシューズブランドです。現地で「緑の勝利」という意味だそうです。
cciluからは様々なスニーカーがでていますが、特に院内履きとしておすすめなのが、「phoenix phoebe」です。
こちらのタイプはゴルフボールの様な表面の凸凹がありますが、すべて閉じています。
全体はcciluオリジナルの合成樹脂ccilucell(チルセル)により作られており、軽量性とクッション性があり、このシューズはさらに防水仕様になっています。
汚れたとしても中性洗剤などで洗うことも出来ます。
以前は「amazon phoenix」というインナーシューズ付きのタイプもあったのですが無くなってしまったようで、この「phoneix phoebe」と「amazon ace」という2タイプに特色分けされています。足の甲のカバーをそこまで気にしないなら「amazon ace」でもいいと思います。
- 合成樹脂で非常に軽量で、クッション性がいい
- 足の甲は覆われており汚染や針などからおよそ守られる(針がささる向きだと貫通するかもしれません)
- 汚れたら洗うことができる
- ローカットタイプのシューズなため脱げにくくインソールも入っている
- 定価が4290円と安めでカラーバリエーションが多い
- 通気性が悪く蒸れやすい
BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック) Super-Birki(スーパービルキー) ★★★☆☆
1774年にドイツで創業したサンダルなどで有名なシューズメーカー、BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)からワークシューズのシリーズが出ています。
特に医療者向けとしては「Super-Birki(スーパービルキー)」がシンプルなデザインで使用しやすいです。
ポリウレタンにより全体は作られており、足の甲は覆われています。
そしてフットベッド(インソール)がBIRKENSTOCKの一番の特徴であり、足の構造にあわせた構造で高い履き心地、機能性を実現しています。
Super-BirkiではBIRKENSTOCK特製の取り外し可能なコルク製になっており、取り外してアウターを水洗いすることが可能です。
- フットベッドによる履き心地がいい
- 足の甲は覆われており汚染や針などからおよそ守られる(針がささる向きだと貫通するかもしれません)
- 汚れたら洗うことができる
- サンダルタイプで通気性はやや良い
- ポリウレタンではあるが、やや上品な作りでカラーバリエーションも豊富
- フットベッドの構造上仕方がないがやや重め(片足400g)
- 踵がやや低く、重さも合わさり脱げやすい
- 定価9350円ほどとやや高い
長時間履きにおすすめの5選
足の甲の防御を重視してこれまでは紹介してきましたが、診療科によってはそこまでの安全性は必要なく、院内で履ければいいという方も少なく無いと思います。
そこでやはり長時間履いても疲れの残りにくい「リカバリーシューズ」から普段使いにもおすすめなシューズも含めて、紹介していきます。
TELIC(テリック) T-MESH LIGHT
先述したTELICからシューズタイプでのおすすめもあります。
足の甲のカバーはそこまで必要ではなく、サンダルタイプが嫌という方もいるかと思います。
そういった方におすすめなのは、シューズタイプの「T-MESH LIGHT」もおすすめです。
足の甲はメッシュタイプなのでガード力には難がありますが、ヒール部分は倒して履くスリッポンタイプとしても使用可能です。
これも言ってしまうとデザインなどからは後述する「HOKAONEONE(ホカオネオネ)のTELICバージョンでやや安価」という印象ですね。
こちらも間違いなくお勧めできる商品ですが、足の甲のガードには注意です。
- 軽量性、クッション性がいい。特にリカバリーシューズとして足への負担を軽減する技術は一級品。
- シューズタイプで脱げにくい。
- カラーはブラック・ホワイトで医療現場に向いている。
- 足の甲は守られない
- 11,500円とやや高価。
OOFOS(ウーフォス) OOMG
先程も紹介しました、アメリカ初のリカバリーシューズのパイオニア、OOFOS(ウーフォス)からやはり紹介しなければいけないでしょう。スニーカータイプは「OOMG」です。
詳しい説明は先程のOOCloogと同様ですので割愛しますが、こちらの衝撃吸収性、メッシュタイプによる通気性、軽量性は文句なしです。
一度体験してみる価値があります!
- 最高のクッション性による膝、腰、背中への負担軽減
- 通気性、軽量性が良好
- カラーもいくつかあり、スタイリッシュなデザイン
- スニーカータイプで脱げにくい
- メッシュタイプなので液体汚染や針などの鋭利なものは注意が必要
- 通常のスニーカーと同様洗うのは少し難しい
- 価格が17800円ほどとやや高め
HOKA ONE ONE(ホカオネオネ) ORA RECOVERY SHOE
最近ランニングシューズで有名になってきているHOKA ONE ONE(ホカオネオネ)からリカバリーシューズが出ています。
こちらは自身でも履いたことがあり、愛用していました。
ランニングシューズもボリュームのあるミッドソールにより衝撃吸収性が優れていることが特徴です。
その中でリカバリーシューズの「ORA RECOVERY SHOE」はアッパーの素材がすべてメッシュで通気性がよく、踵もメッシュでスリッポンタイプで履くことも踵をいれて履くことも可能です。そしてこちらのシューズの特徴のアウターソールのクッション性は最高にフワフワで雲の上を歩いているようで1日履いて仕事していても疲労をほとんど感じません。
- まるで雲の上を歩いているかのような最高のクッション性でつかれにくい
- 軽量で通気性も良好
- スタイリッシュなデザイン
- メッシュタイプなので液体汚染や針などの鋭利なものは注意が必要
- 通常のスニーカーと同様洗うのは少し難しい
- 値段が11000円と高く、カラーバリエーションも少ない。
New balance(ニューバランス) RCVRY *人気のためか毎年アップデートしていそうです
続いて、有名なシューズブランドであるNew Balanceもリカバリーシューズを出しています。
「RCVRY」というシリーズでそのまま”Recovery”の母音なしですね。
CUSH+とマッサージフットベッドによる柔らかい履き心地とメッシュアッパーによる通気性が良好です。
面白いのは足つぼのように凸凹したマッサージフットベッドで心地よい刺激になります。
こちらは院内履きでは使用せず、通勤などで使用していました。
あとこのモデルの特徴としては洗濯機でも丸洗いできる機能を備えており清潔に保つことが出来ます。
サイズが少し小さめのため0.5cmか1cmほど大きめでの購入をおすすめします。
- 軽量でクッション性がいい
- フットベッド(インソール)が凸凹で足裏を刺激し心地よい
- 洗濯機で丸洗い可能で清潔に保てる
- 値段が5600円ほどで安く、カラーバリエーションも豊富
- メッシュタイプのため液体汚染や針などの鋭利なものは注意が必要
- インソールがラバー素材のため靴下を履いたほうがよく、凸凹が不快な可能性もある
SALOMON(サロモン) REELAX MOC 5.0
こちらもあまり聞き慣れないシューズブランドかもしれませんが、スキー・スノーボードシューズ、登山靴やトレイルランニングシューズなどで有名なフランス初のブランドSalomon(サロモン)からリカバリーシューズが出ています。
この「REELAX MOC 5.0」は足全体をしっかりホールドしてブレを少なくすることで筋肉へ掛かる力を低減するEndofitテクノロジーを採用した5代目のリカバリーシューズになります。他にもクッションはランニングシューズやヨガマットなどによく用いられるEVAフォームで衝撃吸収性があります。
HOKA ONE ONEのリカバリーシューズと同様に踵もメッシュのためスリッポンタイプとしても使用可能です。
- 軽量性、クッション性、通気性が良好
- スニーカータイプとしてもスリッポンタイプとしても使用が可能
- 定価が7700円で安めであり、カラーは3色あるが医療現場での使用は現実的には2色。
- メッシュタイプのため液体汚染や針などの鋭利なものは注意が必要
- 通常のスニーカーと同様洗うのは少し難しい
フォーマルさを求める方に特別な1選
フォーマルさを追求するなら革靴含めた一流ブランドも候補にはなってきます。
その中で日本では知名度は低いですが、世界的には医者にも愛用者の多い特別なブランドをご紹介します。
DANSKO(ダンスコ) PROFESSIONAL
聞き馴染みがない人が多いかもしれませんが、DANSKO(ダンスコ)は最高の履き心地と上品なデザインで世界で愛用者の多いアメリカのシューズメーカーです。
創設者は馬の調教師のお二人で、デンマークに馬を買いに行った際に見つけたクロッグスが履き心地がよく、アメリカでも販売し始めたのがきっかけで始まりました。デンマークの靴という意味でDANSKOという名前になっています。
OOFOSと同様に米国足病医学協会に公式に認定もされています。
少し高級志向であり、汚れへの強さ、手入れのしやすさは劣りますが、レザーでできた上品さとその重さからは想像できない足への負担のなさ、耐久性からおすすめなシューズです。
定番はPROFESSIONALのオイルドレザータイプです。
是非一度検討してみてはいかがでしょうか?
- 履き心地は抜群で世界中に愛用者が多い
- 足の甲は覆われており針などからは守られる。
- フォーマルなタイプであり、しっかりした印象となる
- シューズタイプで脱げにくい
- 汚染には弱い
- レザーのため重い(ただし履き心地が最高で気にならない)
- レザーのため手入れを要する
- 定価24000円程度と高級
おわりに
院内履きにおすすめの10選を紹介しました。
少しマニアックなものを中心として紹介したため、知らない靴も結構あったかもしれません。
どれも私のお勧めできる靴になりますので、参考にしていただき、皆様の日常の助けとなれば幸いです。
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