
研究は楽しい。でも「執筆」は…
「論文を書く」という作業、正直しんどくないですか?
新しい仮説を立てたり、実験データから面白い結果が出た瞬間の興奮。それこそが研究の醍醐味です。でも、その後に待っているのは、終わりの見えない「執筆作業」という現実。
特に、物理学や情報工学の分野で標準とされる「LaTeX(ラテフ)」を使っていると、数式のエラーひとつで数十分溶かすこともザラです。医学や生物学の分野の方なら、「フォーマット調整だけで日が暮れた」なんて経験もあるかもしれません。
「研究内容は頭にあるのに、ツールの使い方がわからず進まない」
「引用文献のフォーマットを合わせるだけで数時間かかった」
こうした、本来の研究活動ではない部分に時間を取られるのは本当にもったいない。
そんな中、2026年1月にOpenAIが公開した 「OpenAI Prism」 が、この状況をガラッと変えてしまうかもしれません。
実際に使ってみて、「これは科学界の執筆スタンダードになるな」と確信したので、具体的に何が凄いのか、現場目線で紹介します。
OpenAI Prismって結局なに?

一言で言うと、「専門知識ゼロで使える、全自動論文執筆パートナー」です。
これまで、きれいな論文を書こうと思ったら「Overleaf」などの専門エディタを開いて、LaTeXの呪文のようなコードを書く必要がありました。
Prismは、その「呪文」の部分をAI(最新のGPT-5.2)が全部肩代わりしてくれます。
私たちはただ、日本語でやりたいことを伝えるだけ。
「この段落を見出しにして」
「この手書きメモを表にして」
そう頼むだけで、裏側でAIが勝手にコードを書いて、きれいに整えてくれるんです。
つまり、「Wordを使うような手軽さで、世界標準の美しい論文が作れる」 ようになったということ。LaTeXアレルギーがあった人にこそ、触ってみてほしいツールです。
研究効率を変える3つのポイント

実際に使ってみて「これは便利だ」と感じたポイントを3つに絞りました。
1. 「ドラフト作成」の壁が消える
論文の書き出しって一番重いですよね。
Prismなら、箇条書きのメモを入れるだけで、それっぽい文章に展開してくれます。
しかも、「文脈」を理解してくれるのが賢いところ。「この主張の根拠、ちょっと弱くないですか?」みたいに、査読者視点でツッコミを入れてくれたりもします。自分一人でウンウン唸るより、圧倒的に早く初稿が仕上がります。
2. 面倒なフォーマット調整は丸投げ
LaTeXの何が嫌って、図表の配置や数式の記述です。
Prismは、ホワイトボードの写真をアップロードするだけで、それをきれいな図や数式コードに変換してくれます。「IEEEの形式にして」と言えば一発で全体の体裁が変わりますし、もう細かいレイアウト調整でイライラする必要はありません。
3. 文献探しと引用がその場で完結
これまでは「ブラウザで論文を探す」→「BibTeXをコピー」→「エディタに貼る」…という往復作業がありましたが、これがなくなります。
エディタ上のチャットで「関連論文を探して」と頼めば、その場で検索してリストアップしてくれます。「これ引用して」とクリックすれば、本文への挿入から参考文献リストの更新まで全自動。これだけで、一論文あたり数時間の節約になるはずです。
共同研究のストレスも減る
チームで論文を書くとき、「どれが最新版だっけ?」「メールで送った修正、反映されてる?」みたいなトラブル、ありますよね。
PrismはGoogle Docsみたいにリアルタイムで同時編集ができます。
しかも面白いのが、AIもその場に参加できること。
共同研究者が書いた部分に対して、私が「ここ分かりにくいかも」とコメントすると、AIが間に入って「じゃあ、こんな表現はどうですか?」と提案してくれたりします。
人間同士だと角が立つような指摘も、AIがクッションになってくれるので、意外と議論がスムーズに進みます。
医学・生物系の方にこそ使ってほしい
「自分の分野はLaTeXなんて使わないし…」と思っている方。実はそういう方にこそPrismはおすすめです。
学術誌の投稿規定は複雑で、Wordで完璧に合わせるのは至難の業です。Prismなら、テンプレートを選ぶだけでその雑誌のスタイルに完璧に準拠できます。
数式を使わなくても、「図表の自動配置」や「引用文献の管理」だけで十分にお釣りが来ます。何より、無料(現時点)ですぐに試せるので、食わず嫌いはもったいないです。
迷わず使える!導入ステップ

「機能はわかったけど、最初に何をすればいいの?」
そんな方のために、とりあえずこれだけやっておけばOKという手順を書いておきます。
Step 1: 初期設定で「Zotero連携」だけはONにする
アカウントを作ってログインしたら(無料)、まずは設定画面(Settings)へ。
「Connected Apps」 の中にある 「Zotero」 だけは連携しておきましょう。これをしておくだけで、自分の文献ライブラリがPrismから呼び出せるようになります。
※EndNoteやMendeleyをお使いの方へ:
お使いのツールから文献リストを 「BibTeX形式 (.bib)」 でエクスポートして、Prismにアップロードすれば同じように使えます。
Step 2: 「New Project」でテンプレートを選ぶ
新規作成するときは、真っ白なやつ(Blank)じゃなくて、「Templates」 から自分の分野に近いものを選びましょう。
見出しとかが最初から入っているので、「何から書けばいいんだっけ…」と迷わずに済みます。
Step 3: 最初の指示は「日本語で」
これ重要です。いきなり英語で書こうとせず、AIチャットには日本語で相談してみてください。
「この論文のテーマは『〇〇』なんだけど、イントロの構成案を3つ出して」
みたいに。PrismのAIは日本語ペラペラなので、まずは構成を固めて、それから「Academic Englishに直して」と頼むのが一番効率いいです。
最後に:書く時間を減らして、考える時間を増やそう
Prismは、私たちから「書く苦しみ」を取り除いて、「発見の喜び」に集中させてくれるツールだと思います。
浮いた時間で、もっと論文を読んだり、同僚と議論したり、新しい実験を仕込んだりできる。
そう考えたら、一度試してみる価値はあると思いませんか?
次のレポートや、ちょっとしたメモ書きからでも。ぜひこの快適さを体験してみてください。
記事メタデータ
- 想定読了時間: 8分
- 概算文字数: 10,000文字
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