こんにちは、Dr.シェパードです。
Twitterでも述べたのですが、一昨日に少し大変なことがありまして、朝活報告と論文紹介が遅れてしまいました。
9月はじめころから頭にニキビができて痛い、なんでだろう…
いつもの感じで2-3個位できてるのかな?
なんだか頭も痛い、どこ触っても痛い感じ
なんだか小さい紅色丘疹が頭のいろんなところにあって特に頭頂部!一部水疱のようにも見えるし・・・帯状疱疹?それともニキビの類?
という事がありまして、経過が長くて帯状疱疹なのか他の皮疹なのかわからない状況ではありますが皮膚科に受診してもやはり悩ましいという結論でした。
帯状疱疹であれば早めに治療する必要があるのですが、むやみに薬剤投与も副作用の懸念がありますからね。
そんな話がなぜつながるのかというと、
新型コロナワクチンの副反応も強くて1週間体調悪かったし、今度はなんだー
たしかにね…、うん?打ってから4週間くらい?発症までの期間はよくわからないけど、ファイザー/バイオンテックワクチン後の帯状疱疹が散見されるって聞いたぞ!
ということで、調べてみました。
こんなお話もあり、他にも英語で帯状疱疹のケースレポートなどが出てきました。
そして今回の論文です。
NEJMに2021年9月16日に掲載されたこちらの論文「Safety of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting」です。
イスラエルでファイザー/バイオンテック社製ワクチンが全世界に先行して接種が進んだことは記憶に新しいかと思います。
そのワクチン接種が進んだイスラエルからの報告です。
Abstract
Background
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ベースのワクチンの安全性プロファイルが良好であることが承認前の試験で示されたが、これらの試験は規模や患者ミックスの制限を受けていた。BNT162b2 mRNAワクチンの安全性を広範な潜在的有害事象に関して評価する必要がある。
Methods
イスラエル最大の医療機関のデータを用いて,BNT162b2 mRNA ワクチンの安全性を評価した。有害事象の診断を受けたことがない人を対象、,社会人口統計学的および臨床的変数に基づいてワクチン接種者とワクチン未接種者を個別にマッチングした。ワクチン接種後42日目のリスク比とリスク差は、Kaplan-Meier推定量を用いて算出した。これらの結果を踏まえて、SARS-CoV-2感染者と非感染者をマッチさせた同様の解析を行った。ワクチン接種とSARS-CoV-2感染の解析では同じ有害事象が調査された。
Results
ワクチン接種の解析では、ワクチン接種群と対照群にそれぞれ平均884,828人が含まれていた。ワクチン接種は、心筋炎(リスク比,3.24;95%信頼区間(CI),1.55~12.44;リスク差,10万人あたり2.7イベント;95%CI,1.0~4.6)、リンパ節腫脹(リスク比,2.43;95%CI,2.05~2.78;リスク差,10万人あたり78.4イベント/10万人,95%CI,64.1~89.3 )、虫垂炎(リスク比,1.40,95%CI,1.02~2.01,リスク差,5.0件/10万人,95%CI,0.3~9.9)、帯状疱疹(リスク比,1.43,95%CI,1.20~1.73,リスク差,15.8件/10万人,95%CI,8.2~24.2)のリスク上昇と最も強く関連していた。SARS-CoV-2 感染は、心筋炎(リスク比 18.28,95%CI 3.95~25.12,10 万人あたり 11.0 件のリスク差,95%CI 5.6~15.8)のほか、心膜炎、不整脈、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、頭蓋内出血、血小板減少症などの重篤な有害事象のリスクを大幅に増加させた。
Conclusions
全国規模の集団予防接種を対象とした本研究では、BNT162b2 ワクチンは,検討したほとんどの有害事象のリスク上昇とは関連していなかった。ただし、心筋炎の過剰リスク(10万人あたり1~5件)と関連していた。SARS-CoV-2 に感染すると、この潜在的に重篤な有害事象およびその他多くの重篤な有害事象のリスクが大幅に上昇した。(ハーバード・メディカル・スクールのIvan and Francesca Berkowitz Family Living Laboratory CollaborationとClalit Research Instituteにより資金提供された)
コメント
ファイザー/バイオンテック社製ワクチン接種により、リンパ節腫脹、虫垂炎、帯状疱疹の発症リスクが高いことがわかりました。一方でSARS-CoV-2での感染では心筋炎リスクや 心膜炎、不整脈、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、頭蓋内出血、血小板減少症などの重篤な有害事象 の発症リスクとなるため、やはり予防が大事です。
ワクチン接種によるそういった有害事象が起こりうることは念頭においておかないといけませんね。
幸いこれらの副反応は治療の早期介入により軽度で済む可能性がありますから症状があれば医療機関受診が推奨されることに変わりはありません。
Ns.うさぎさんは迅速キットのデルマチェックで診断がつかず、経過も長いため細菌感染による皮疹も考えられ、現在は抗生物質内服をしていますが、再度皮膚科受診を予定しています。
あまり変わりないのであれば帯状疱疹の可能性があり、頭部にできているため無菌性髄膜炎などのリスクもあり心配です。
経過をみていくしかありませんが早期に判断していく予定です。
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